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「死のショックで
一時的に記憶喪失になるのは
めずらしいケースではないと思います。
時間が経てば、
徐々にいろいろなことを思い出すはずです…」
「なるほどー。
確かに、ショックで
自分が死んだことすら忘れてる
痛い霊もいるもんね!
さすが凛ちゃん!
だてに30年も幽霊やってないね!」
「年の功よ」
明るく笑う吉澤君の横で
明日香さんが嫌味を言う。
高田さんは、不安そうなボビーさんの肩に手を置くと、優しく笑った。
「ボビー君の今の様子からすると、
水場で死んだことは間違いないね。
おそらく、車の事故で海にでも突っ込んだんじゃないだろうか。」
「ワカリマせん…」
「安心しなさい。
記憶と一緒で、体の修復も
徐々に進んで行くからね。
ここにいる吉澤君も、
はじめは頭が割れて大脳が露出していましたからね。ははは」
「そうだよー。
凛ちゃんにもキャーキャー言われちゃって、3メートル以内に近寄らせてくれなかったんだから」
「……その節は、すみませんでした」
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