ボーイ ミーツ ゴーストガール

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金色の髪をした彼は、 仲間の輪から少し離れたところで 花火を見ていた。 ボビーさんは、はじめは自分が死んだことには気付いていなかった。 ただ、今いる場所がどこなのか、 なぜここにいるかもわからず、 とにかく交番に行って 助けてもらおうと思ったらしい。 ところが、いくら話しかけても ボビーさんを見てくれる人はいなかった。 若者たちは まるでボビーさんが見えていないかのように はしゃぎ続け、ときには笑いながらボビーさんの体に花火を押し付けたのだという。 そのときボビーさんは気付いた。 肌に触れたはずの花火が まったく熱くないことに。 『かわいそうだけど あんた、もう死んでるよ』 気がつくと彼がすぐそばにいた。 仲間に聞こえないくらいの小さな声でささやくと、 彼はボビーさんに、 遠くに見えるこの山を指差し、 頂上に病院があること そこにボビーさんと同じように、すでに死んでいるものたちがいること を教えてくれたのだという。 仲間たちに慕われているようなのに、 どこかさみしそうな目をした少年。 「ホシの、オウジさま みたいナ」
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