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「サン・ テグジュペリの『星の王子様』ですね」
国語教師だった高田さんが、
真っ先に反応する。
「え? 星野のじいさま?」
それは全然ちがうひとです、吉澤君。
「あたし、カレーは辛口しか食べないから」
お子様向けカレールーの話は
してません、明日香さん。
「ボク、こどもノころ、
パパ読んでクレましタ。
ダイスキなストーリーでス」
わたしも大好きで、繰り返し読んだ。
小さな星で、一輪のバラの世話をしながら
暮らす王子様。
バラのわがままに疲れ果てて星を出て、
旅をする中で
『本当に大切なものは何か』
に気がつくお話。
ボビーさんをこの病院に導いた少年は、
星の王子様のようにさみしげで、
大人びた静かさと
不器用な子供っぽさが
同居しているような
魅力的な目をしていたのだという。
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