ボーイ ミーツ ゴーストガール

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彼は屋上の手すりにもたれて、 ぼんやりと夜空を見上げている。 「あの…」 「あ、俺のことは気にしなくていいから。 いないものと思って普通にしてて」 そんなこと言われても。 わたしは手持ちぶさたで、 しゃがみこんで猫たちの頭をなでながら彼の様子をうかがった。 生身の人間から 『いないものと思って』 て言われるなんて、変な感じ。 いつも、いないもののように扱われてるのはわたしたち幽霊のほうなのに。 視える人は、わたしたちを見て悲鳴をあげたり、逆に気づいているのにあえて無視したりすることが多いけど。 こんなふうに、普通の女の子と同じように扱われるのは初めてかもしれない。 「あなたみたいに…」 気がつくとわたしは、 信じられないことだけど 自分から彼に話しかけていた。 「あなたみたいに視える人でも、 こうゆうところに来るんですね。 幽霊とか、もう見飽きてるのかと思ってました」 彼はちょっとおどろいたようにわたしを見て、 それから困ったように笑った。 「あいつら同じクラスのやつなんだけど、 ここの噂聞いて、 心霊動画撮ってTVに売るって言ってたからさ。 俺もちょっと気になることあったし、 ついでにね」 「気になることって…… あ、もしかしてボビーさんの……?」 「うん、さっき下で会った。 あのおじさん、無事たどりつけたんだな。 見た目怖いけど、いい奴そうだったし 仲良くしてやってね」 彼が、星の王子さま。
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