631人が本棚に入れています
本棚に追加
/239ページ
「だめですっ! 今すぐ消してください!!」
「あ、ごめん、やだった?
幽霊でもやっぱ健康とか気にするんだ。
副流煙とかやばいもんね。
あっちで吸ってくるわ」
「そうじゃなくて!」
自分でも思いがけないほど大きな声を出してしまい、わたしは落ち着くためにいったん大きく息をついた。
「蒼さん、今おいくつですか?」
「え。17」
「未成年が喫煙することのリスクについてご存知なんですか?」
「あー、保健体育の授業で見たことある。
肺が真っ黒になるやつね」
「そうです!
ひとときの快楽に負けて
その煙を吸うことで、蒼さんのぴちぴちの若いピンク色の肺が、ニコチンとタールに汚染されて真っ黒になっちゃうんですよ!!」
「ぴちぴちとか、ピンク色とか、
なんかエロいね」
「真面目に聞いてください!!」
「別にいいって。
長生きしたいとか思ってないし。
将来に夢とかないし、
ただなんとなく生きてるっつーか、
死ぬのもめんどくさいから生きてるっつーか、
そんな感じだから、俺」
無気力な目をして煙草をくわえると、
まるで見せつけるように
空に向かって煙を吐き出す。
そんな蒼さんを見て、わたしは
無性に腹が立った。
最初のコメントを投稿しよう!