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薄暗い外科病棟の待合室で、
わたしはソファの間にしゃがみ込んで
身をかくしていた。
電気はとうの昔に切れているはずなのに、
白い蛍光灯が、バチッ、バチッと不穏な音を立てて点滅する。
光にむらがる白い蛾が、私の耳元をかすめるようにして飛んでいく。
思わずもれそうになる悲鳴を、膝小僧に口を押し付けて必死にこらえた。
足音もなく、彼はゆっくりと近づいてくる。
『りぃん、チャん……
いッしょ二、あソビ、ましょお』
いびつなイントネーションで
語りかけてくるその声から逃れたくて、
必死に耳をふさぐ。
いやだ。
いやだ怖いいやだいやだいやだ
来ないで!!
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