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「いい加減慣れなさいよ!
毎回、新人が来るたびに
ぎゃあぎゃあ逃げまわって!
あんたのせいで、ボビーが落ち込んでるじゃないの!」
「……スミマセン」
元女優の明日香さんに
張りのある声と美しい顔ですごまれて、
わたしは膝をかかえてうつむいた。
今日からこの病院の『浮遊霊クラブ(仮)』に仲間入りした
フランス人のボビーさんが、明日香さんの後ろでオロオロしている。
「あスかさん、
リンちゃン、かわいソ……。
怒る、だめでス」
ボビーさん。
いい人なのに、思いっきり悲鳴をあげてしまってごめんなさい……。
「ったく、いい歳してカマトトぶっちゃって。そうやってキャアキャア怖がってれば、男が優しくしてくれると思ってるんでしょ?」
明日香さんが、かたちのいい鼻を上に向けて、馬鹿にしたように笑う。
わたしは、短いワンピースから伸びる明日香さんの美脚を恨めしげに見上げた。
「なによ? 文句あるなら、言いなさいよ」
「……明日香さんにはそうゆうこと、言われたくないです」
「あんた、あたしに向かってそんな口きいていいと思ってんの?」
今、文句があるなら言えって言ったじゃないですか。
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