死ぬほどあなたが好きなのに

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花火の打ち上げまで、あと7時間。 俺はついに不都合な真実を知ることになる。 「視えなくなる? ……俺が?」 デッキブラシを片手に 昼飯代わりのウィダーインで栄養補給していた俺は、 間抜けな顔で高田を見る。 いやいやいや、ありえねーだろ。 半笑いで流したいところだけど、 沈痛な面持ちで手紙をのぞきこんでいる高田を見て、 心臓がいやな感じに脈打った。 「ええ。 お祖母様の書いていることが確かなら」 「いや、だって見ろよこの数珠。 今までどんなに外そうとしても、手錠みてーにガッツリ食い付いて離れなくて……」 高田に向かって手首を振りかざすと、 黒紫の数珠が勢いで揺れて、 珠同士がこすれるかすかな音が聞こえた。 ……あれ。 つーか、この数珠。 いつのまにこんなにゆるくなってんだ? 今までは、手首に食い込むぐらいにきつくて、引っ張ることすらできなかったのに。 俺は試しに数珠をひと粒つまんで、 軽く引っ張ってみた。 小さな数珠をつなぐ青白い光の糸のようなものが、ゴムのように伸びて、今にも千切れそうなくらい細くなる。 あせって手を離すと、 俺の手首にぱちんと当たって、元の太さに戻る。 やっべえ。 何とは無しに、自ら千切っちゃうとこだったわ。 つーか何これ。 普通の糸じゃないのは明らかだけど。
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