La Vie en Rose 1

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浩也はスーツケースをカラカラと転がし ながら歩き、吉祥寺行きバスの自動 券売機に並ぶ。成田エクスプレスを利用 して電車で向かってもいいのだが、 乗換えが面倒だ。 吉祥寺駅北口でバスを降りると蒸し暑 かった。湿気が身体に纏わりつくような 感じがする。歩いて数分の本社に到着した 頃にはじっとりと汗をかいていた。湿度の 高さに浩也は帰国した実感を抱く。 エントランスホールでエレベータを待って いると、背後から企画部の西村黎の良く通る 声が聞こえた。 「あらぁ、西島くん、随分急な帰国だこと。」 「緊急事態発生。」
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