夢では幸せだったね

2/13
前へ
/13ページ
次へ
僕は世に言う "裕福な家庭"の子だった。 末っ子だった僕に父がどういった仕事をしているかなど知りもりなければ、興味も無かった... ただ僕にとって 何不自由ない生活を送ることが出来る そんな環境が当たり前で 何でも買い与えてくれる父親が 好きだった...と思う。 家族構成は父 母。 そして年の離れた兄弟が居る。 8つ離れた兄 6つ離れた姉 そして僕。 絶頂期の父は富豪と言える程だった。 その頃の生活に家族の団欒などない。 母はアンチエイジングに湯水の如く金を使い。 年甲斐もなく派手な服装で買い物に出かけ。 ほとんど着ることのない服を店ごと買っては クローゼットが狭いと文句を垂れては 家を改装させた。 兄は父の仕事を継ぐ予定が有るのかないのか。 見る度に違った綺麗な女性を連れ、 高級なレストランで分かりもしない高級なワインをジュースの様に注文しては、チヤホヤされる的としての生活。 姉も母と大差ないが、更にひどかった。 全身整形の末、モデル業界などに首を突っ込み オートクチュールの独自のブランドまで作らせ、我が儘な上に、気に入らない事があれば、直ぐに癇癪を起こした。 僕は当時中学生。 贅沢と言っても限度があった。 欲しいゲームが手に入らなかったことが無い。 競争率が高く手に入りにくい最新のなんちゃらは基本的に発売と同時に僕の部屋に届いた。 学校で恨めしい目で見られるくらいで、 大して良い思いもした記憶はない。 ギターが欲しいと言えば、 講師付きでギターをプレゼントされたり。 若干大きなお世話な面もあった。 兄と姉を見て馬鹿だと思う事もしばしだった。 それが故に、反面教師と言うか... 僕は幸運な環境を利用はするが、 同時に自分の将来は自分で切り開くべきと 学業を怠る事はしなかった。 いっぽう、父はあれが欲しい、これがしたい。 など言われると、嫌な顔をするどころか。 自慢げに振る舞い 富を見せびらかすチャンスが有ると喜んで金を使った。 なんのことは無いただの見栄だ。 しかし、そんな事だろうが何だろうが... 欲しいものが手に入り、 贅を尽くせる事に家族が文句を垂れる事などなかった。
/13ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加