すこっぷ

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「フェスね……確かにそうだよね。あ、そう言えば、オウちゃん、『ふるさと元気だ! 真夏のカッパフェス』ってどこでやってるフェスか知ってる?」 「何それ?」  スグルの問いに、オウスケは眉根を寄せた。 「やっぱいい、聞かなかったことにして」とスグルはこれ以上、話を膨らませるのを断念した。 「おれは、オウスケみたいに小難しく考えられないし、自分的に好きか嫌いで判断してるけど、脱力感のあるヒーリングミュージック的なやつよりは、力の限りに声出して、ギター掻き鳴らして、ダラダラ汗流して歌ってるバンドの方がいいな」  チハルの意見に、「あ、おれも。チーくんの言ってること解る」とポールも賛同した。 「で、結局の所、スグルは、叔父さんのライブを見て、何を学んだワケ?」  オウスケが結論を求めるように、スグルを見た。うーんと答えにつまりながら、スグルは右頬を人差し指で掻いた。 「叔父さんは自分がカッコイイと思ってやってることが、ぶっちゃけ、おれにはダサく見えた。で、おれらのバンドのライブを考えたんだ」  通年、夏休み明けの9月に開催される文化祭で、スグルたちは軽音部として、体育館でライブパフォーマンスをすることが決まっていた。
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