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「学祭かぁ、懐かしいな。青春だな。いつだっけ? 俺は忙しいから行けないけど、まあ頑張れよ」
叔父さんはそう言って、スグルの肩を叩いた。その内、酔っぱらった女が叔父さんの耳を舐め始め、はだけたシャツの上から乳首を探すような、厭らしい指の動きを始めた。今にもここで本番を始めてしまいそうな雰囲気だ。
中学生の前で何やってんだよ。スグルは泣きたくなった。
「おれ、もう帰るよ。あんまり帰りが遅くなると、父さん怒るし」
「兄貴は過保護だからな。じゃあ、また連絡するから」と叔父さんは女の相手をしながら、軽く手を振った。
「(いや、頼むから連絡しないでくれ) おやすみなさい」
スグルは立ち上がると、急いで出口に向かった。
叔父さんはスグルの父親と年の離れた兄弟で、今の年齢まで決まった職に就かず、ふらふらしている。今は知り合いの紹介で肉体労働をしているらしい。
結婚もせず、女をコロコロと変え、毎晩のように飲み歩く、叔父さんはとにかく知り合い多い。どこどこの社長だとか、たまたま地方公演に来ていたミュージシャンとか、偉くて名声のある人と俺は知り合いなんだと、それは凄いことなんだと言いたげに、叔父さんはいつもスグルに自慢していた。
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