すこっぷ

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「あるね。何だったら、今売れてるミュージシャンの曲は、クソだって言ってるよね」  自分のことは棚に上げて音楽を語る叔父さんを思い出した。何故か嫌悪感が沸いてくる。 「おれが思うに、あくまでおれの個人的な意見だけど。『俺の音楽論』を語る奴はたいした奴じゃないね。音楽なんて、聞く人によって解釈が違うものだろ? ある人は楽しいと感じても、ある人はムカつくかもしれない。自分の思いを皆が理解してくれて、ついて来てくれる。答えを示す先導者になったつもりになってるけど、そんなのごく一部の奴らだけで、大体の奴はオナニー野郎で、言ってることも当たり前で薄っぺらい」 「今日のオウちゃん、毒づくね」  ポールが揶揄を入れる。一気に捲し立てて疲れたオウスケは、ポカリをぐいっと飲み干した。 「哲学っぽいな」  チハルは関心している。オウスケの見解を聞いて、スグルは叔父さんに抱いていた嫌悪感の正体が解った。そうだ、オナニーを見せられているようなものなんだ。だから、心地よくないんだ。 「音楽はさ、その時の気分に寄り添うものでいいと思うんだ。フェスだったら、ピクニック気分で開放感もあるし、とにかく楽しい! って気分になるだろ?」
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