お化け屋敷

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なあ知ってる? 得意気に言ってくる友人を目の前に思った。 俺の幼馴染みは……あほ、だと。 その話をあいつは一体何人に広めたのか。 事の発端は去年の文化祭準備期間中。 毎年三年のどこかのクラスがお化け屋敷を担当しているらしく、あいつも友人達と一緒に行こう、なんて軽く話していたのを聞いてからの帰り道。 「なあ、知ってるか?毎年文化祭のお化け屋敷には本物のお化けが混じってるんだって」 怖がりな癖に怪談話が好きな俺の幼馴染みは、予想通り怖がった。 案の定、友達とだと怖いから俺に付いてきてという流れになった。よしよし、作戦成功。 俺の幼馴染みはあほだから、怖がったら誰彼構わずお化け役にでさえ抱き付こうとする。 それが例え男であっても、だ。 そんな事、させてたまるか。 だから、俺と一緒に行って常に俺に抱き付いていれば良いんだ。 で、今年もその予定。 一緒に見て回るのは確約済み。 問題はその、俺が彼女に言った作り話『毎年文化祭のお化け屋敷には本物のお化けが混じってる』を目の前で俺の友人が得意気に話しているこの状況。 今更、あれは俺の作り話とは言い出せない。 「へ、へぇー。……そうなんだ」 この話を俺に話したのは今月四人目。先月も二人居た。 多分『後夜祭の花火を好きな人と一緒に見ると両想い』と並んで同じくらいに広まってしまっただろう。 まぁ良いか。知ーらね。
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