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「そう?」
「絶対そう!!胸キュンハプニングって起きてないの」
「千佳子が期待しているようなことは何も」
私は首を横に振る。
「それにさ、アスミンだって、そういう噂あるし……」
「噂?」
千佳子が私の耳元に唇を寄せて、そっと囁いた。
「アスミンが、沙羅のこと好きだっていう噂」
それを聞いた私は、思わず吹き出してしまった。
「まっさかー!そんなことあるわけないじゃん!」
「え~、私結構聞かれるよ?本当に沙羅とアスミン、何もないのって」
「ないない……ないないないない」
身振り手振りで否定するも、千佳子は信用していないみたいでぐっと身を乗り出して、さらに問い詰めてくる。
「アスミン、結構沙羅には親身だし」
「それは、私が天文部唯一の部員だからであって……」
「その天文部の、観察会だっけ?それも怪しくない?……本当に星観察してるの~?」
「してるしてる、超してる、めっちゃしてる」
「二人っきりで?」
「うん」
私は何度か、首を上下に振る。しかし、これだけ否定しているのに千佳子のゲス妄想は留まるところを知らない。
「『笹原さんのことも観察させてください……』みたいな事にはならないの?!」
その言葉で、私は思いっきり吹き出してしまう。
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