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 明日海先生の正体は、『アスモデウス』という名の悪魔だ。  伝承では大天使・ラファエルによってエジプトの奥地に幽閉されたとなっているが、そんなところからはすぐに逃げ出し、世界各地を旅していたらしい。  そんな彼の心をとらえて離さなかったのが、『サラ』だった。幽閉の原因となった美しい町娘のサラ、サラの事を忘れることが出来なかったアスモデウスは、サラが生まれ変わるたびにその新しい『サラ』に憑りついてきた。 その、何千何百何十何人目の『サラ』だかが、私、笹原沙羅だった。  アスモデウスが私の元を訪れたのは、お母さんが死んで、無事にお葬式も済んだ夜。陽介のマンションに引っ越すために黙々と荷物を片づけていたころだ。  深い悲しみの中いたたまれなくなった私は、着の身着のままロープウェイ乗り場に向かって、ゴンドラに揺られていた。オレンジ色の太陽が沈み、世界が紺色の闇に浸されたとき、『ソレ』……月明かりに照らされた異形の姿が目の前に現れたのだ。  驚いて目を丸くさせている私を見て、3つある頭すべてが私を見て笑う。そして、言うのだ。 『見つけた』 と。     
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