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「もったいない、絶好の観察日なのに」  私は天体望遠鏡をのぞいた。糸の様に細い月の斜め上で、金星がキラキラ輝いている。  明日海先生は、金星が好きだ。マジリスペクトしている悪魔のボス・サタンこと堕天使・ルシファーを表す星だから、らしい。 今の表情は私が迫っている時よりもキラキラしている。それがちょっぴり……いや、すごい腹立つ。 「あ、流れ星」  ぼんやりと空を見上げていた陽介は、ぽつりとつぶやいた。 「え?どこにですか?」 「あそこから、ひゅーっと」 「説明わかり辛い……」 「まあまあ、いいじゃないですか。……いいですね、僕はまだ流れ星見たことがありませんよ」 「……金星ばっかり見てるからですよ」 「何か嫌味っぽい言い方ですね、笹原さん。……笹原さんは、流れ星に願いをかけるとしたら、どんな願いをかけますか?」  その手の質問に、生まれてこの方、一度も悩んだことがない。     
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