明日海先生、奪いにきてよ

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『アスモデウス』という名の悪魔がいる。 人間・牛・羊の頭、ガチョウの足を持ち、毒蛇の尾を伸ばし口からは火を噴いた。 多くの者はその姿を恐れていたが、ソレを恐れず敬意を払い、丁寧に対応すればとても喜び、指輪や、幾何学・天文学の知識を授けたという。 昔々ある町に、『サラ』という名の美しい娘がいた。 アスモデウスは彼女に憑りつき、サラが結婚し初めての夜を迎える度に、サラの夫を絞め殺した。 7度もその出来事が繰り返されると、サラは『悪魔憑き』と呼ばれるようになり、町の人たちから敬遠されるようになった。 ある日、町にトビアとアザリアという2人の青年が訪れた。 アザリアはトビアに、サラと結婚するように言った。 悪魔を恐れたトビアはそれを一度断るが、アザリアはトビアに言う。 「香炉に魚の内臓を入れておけば、大丈夫」 嫌々ながらも承諾したトビアは、サラと初めての夜を迎える。 アザリアに言われたとおり、魚の内臓を入れた香炉を焚いたところ、姿を現したアスモデウスは、逃げ出した。 その後ろを、アザリアは追う。 アザリアの正体は大天使『ラファエル』であり、ラファエルはアスモデウスを捕えエジプトの奥地に封じ込めたという。 サラに執着していたアスモデウスであったが、アスモデウスがサラに手を出すようなことは、なかったという。
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