第一話 翡翠《ひすい》色の炎

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 一時間目が終わると、生徒が一斉に席を立ち教室からいなくなる。次が体育だからだ。 「お~い……、お~い……、おい!」 「へ?」 「へ? じゃないよ。授業終わったぞ。いつまで寝てるんだカナタ」 「ああ……ごめんなさい」  今寝ていたのが田中(たなか)彷徨(かなた)。一応、主人公であり、身長が異常に高い。普段からこのテンションだ。  そして、カナタをバックフロムドリームさせたのは謎の同級生、田白(たしろ)城田(しろた)だ。こいつは上にも横にもでかい。 「謎ってなんだよ?」  あ、ナレーションに突っ込んでくるやつですか。わかりました~。 「ナレーションなんかいらないから。ていうかお前、何で一限サボったりなんてした?」 「あ~俺? いちいち聞かなくてもわかるでしょ、寝坊だよ。あ、俺、雪春(ゆきはる)秋彦(あきひこ)って言います。どうぞよろしくね」 「さっきから、窓に向かって何をしゃべってるんだ?」 「ヒ・ミ・ツ」 「…………」
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