近所の本屋

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小学生の頃、自宅の近くに本屋が欲しかった。 学校には学区というのが決められていて、そこを出る時は保護者が一緒でなければならいという決まりがあった。 学区内に本屋はなく、欲しい本や雑誌があっても子供だけでは買いに行けないのでとても不便だった。 中学生の頃、近所にバイパスが通り、そのお陰で本屋が出来た。 もう、学区もなく行動範囲も広がっていたので、さほど必要性は感じていなかったが、それでもオシャレな本屋で、嬉しく頻繁に通っていた。 高校を卒業し、実家を離れ、二十年が過ぎた。 本の置き場所に困り、電子書籍に移行していた。 再び故郷に戻り、あのオシャレな本屋に行ってみた。 そこにあったのは、とんかつ食堂だった。 本を買おうと思ったわけではない。 勝手だが淋しいと思った。 私の家の近所に本屋は無くなった。
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