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「なんか知っとるな。あれは」
竜五は里実の後ろ姿を見送ると怪訝な顔をしてそういった。
「ってことは竜五も知らないんか?」
僕の一言に竜五はビクッとした。
「ばれてもた?実はそない情報持ってないねん。ほら、早よ行かんと授業遅れんで」
竜五はニカッと笑うと、さっさと靴を上履きに履き替えて小走りで教室に向かった。それを追いかけるように僕も上靴にさっさと履き替えると、教室へと向かった。
教室はすでに生徒で賑わっていた。車で送られる生徒がほとんどなので、遅刻ギリギリになるような生徒はあまりいなかった。
「ほら。座れ。授業始めるぞー」
先生が教室に入ってくると生徒は皆自分の席についた。教室にある机はほとんどが埋まっていたが、一席だけが空いたままだった。
そこは坂巻莉音の席で、数日前から学校を休んでいた。僕はそれをただの風邪だと思っていたのだが、今朝親父に言われたことで、ことの異常さを自覚したというわけだ。
もしかしたら、学校中の噂になっている神隠しとやらに関わっているのではないかと思い、僕は情報を集め始めることにした。
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