1章 一つ目の七不思議

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「?であるからして。この公式は?」  授業中、ツンツンと背中に何かが当たるのを感じた。後ろを振り返ると、里実が四つ折りにした紙の切れ端を渡してきた。 『神隠しについて、調べようとしてるん?』  そう書かれた下にこう文字を書いて里実に返した。 『うちの門下生の莉音が神隠しに巻き込まれてるかもしれへんから』  僕の返事の下にまた返事を書いて里実は紙を返してきた。僕は授業を聞いているフリをしながらそうやって里実と秘密の会話をし続けた。 『莉音ちゃんか・・・それは気の毒やけど。神隠しについては調べへん方がええよ』 『どういうことだよ』 『詳しくは私も知らへんけど。何や調べてる人は皆同じように神隠しにあうっていう噂やねん』 『調べたら神隠しにあう・・・?』 『そう。だから、神隠しについてはしらべんとこ。ええね』 『わかったよ』  僕はそう嘘をついて紙切れの会話を終了したが、里実のおかげで情報が一つ増えた。  神隠しを調べる者は同じく神隠しにあう。  具体的にどういうことなのか詳しくはわからないが、きな臭くなってきた。
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