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僕は授業中、莉音が神隠しについて調べていたのかどうかについて気になった。莉音は内気な女の子だ。
合気道においてはなれてきたために練習もこなせるようにはなってきたが、学校で見る限りでは引っ込み思案なところはそこまで治っていなかった。
そんな莉音が果たして神隠しについて調べようとするのだろうか。
そんなことを考えながら僕は授業を上の空で聞きつつ、休憩時間になるのを待った。僕は竜五を連れションに誘うと、竜五はニヤリとしてその誘いに乗ってきた。
「何や、神隠しについて調べること、里実に止められたんか?」
竜五は教室を出た途端俺の脇を小突きながらそう言った。
「ああ。そうだよ」
「でも、調べんの止める気は無いって顔してんなぁ?」
「わかるか?」
僕もニヤリと竜五の顔を見返す。
「わかるがな。んで?神隠しの情報が欲しいんか?」
「そうや。とりあえず知ってることだけ教えてくれへん?」
僕たちはトイレに向かって歩きながら会話を続けた。トイレについても僕らは喋り続けた。
「おけおけ。ほならわいの情報網が火を吹くで、と言いたいところなんやけど。実はそこまでの情報は集まってないねん」
竜五は隣の便器で小便をしながら決まりが悪そうにそう言った。
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