プロローグ

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「これ?なんてことない推理小説だけど」  彼女の言う通り、その本の表紙にはでかでかと殺人事件と言う文字が書かれていた。作者はよく知らない名前だった。 「推理小説?」 「ええ。推理小説よ。この著者のシリーズはいつも予想外の結末が待ち受けていて。そうね。一言で言うなら、とても刺激的なの」 「へ?。そんなに面白いんや。・・・すごく分厚いみたいやけど」 「そうね。最初はあまりの情報量に圧倒されるかも」  彼女はそこまで言うと、何かに気づいたようにピクッと本のページをめくる手を止めた。  そして本を元あったと思われる場所に戻した。その左右には彼女の読んでいた本と同じく分厚い本たちがまるで、読めるものなら読んでみろとでも言わんばかりに堂々と並んでいた。
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