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僕は階段を駆け上がり、図書館の扉を開けた。
それは、運命の出会いだった。
彼女を見た瞬間、それは運命だと確信した。
夕暮れに染まる図書館に一人たたずむ彼女。
「あら?私に何か用かしら?」とそんな彼女に声をかけられたところから、鶉野という先輩の名前をきき、用がないなら図書館から出て行くようにと、静かに図書館のドアを指差された。
僕はまるで古い恋愛映画を見ているような気分に浸りながら、鶉野先輩の一挙手一投足に注目していた。
「用ならあります」
僕は思い出したかのようにそう声を出した。
ここに来た目的は鶉野先輩とは確かに別にあった。
僕は図書館の一席に腰掛けると、図書館の窓から廊下を見た。窓から廊下はきちんと見渡せることは間違いなさそうだった。
「何をしているのかしら?」
鶉野先輩は用があると言ったきり、席に座ってただ廊下を眺めている僕にそう声をかけた。
「ちょっと・・・調べ物です」
「調べ物をしてるようには見えないのだけど」
「してるんです」
「ふぅん・・・」
鶉野先輩はお気に入りの本を再び本棚から出してくると、さっきの席に座って再びその本を読み始めた。
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