13人が本棚に入れています
本棚に追加
「さぁ・・・誰がそんなことを言い出したのか・・・本当にそんな怪現象が起こったのか。今調べようとしてたところです」
「ふぅん。それで?トイレには行ったの?」
鶉野先輩は机に肘をついて頭を腕で支えながら、僕にそう聞いた。
「行けるわけないじゃないですか。女子トイレですよ」
「別にいいじゃない。あんなトイレ、滅多に誰も使わないんだし。一回調べてみたら?何か進展があったら私にも教えなさいよ」
鶉野先輩は相談してみろと言う割に、事件に興味を持ってしまったようだった。
しかし、そんなことを指摘できるはずもなく逆に僕は鶉野先輩に会う口実ができたと内心嬉しく思っていた。
「わかりましたよ。それじゃあ、今から調べてくることにします」
「そう。もしノックが帰って来たとしても、ドアを開けちゃダメよ」
「え?」
「痴漢で捕まりたくなかったらね」
鶉野先輩は見下すような笑顔で笑って僕にそう言った。
僕はからかわれていることすらも嬉しく思ってしまったので、その照れ隠しにさっさと図書館を出て、隣の女子トイレへと向かった。女子トイレの中に向かって呼びかける。
「あの、この女子トイレ、誰かいますか?」
最初のコメントを投稿しよう!