1章 一つ目の七不思議

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「でも、まだ中に人がいるだけって可能性も残っているじゃない」  矢野の声が聞こえた。その言葉を聞いて顔が青ざめた。  この流れはまずい。・・・いや、今出て行けば調査してたって言えばなんとかなるか。そうおもったが、浜崎の初対面の対応を思い出し思いとどまった。  もしうまくいかなかった時僕の学園生活は終わる。そう思い再び息をひそめる。 「でも・・・息遣い一つ聞こえない・・・」  新町は臆病そうな声でそう言った。 「来夏はどう思う?」  浜崎はふと佐藤にそう呼びかけた。しかし佐藤は返事を返さない。 「ちょっと来夏?どうしたの、あんたのそんな顔初めてみたわよ。具合でも悪いの?」  浜崎の心配した声が聞こえた。こちらからは佐藤の表情は見ることはできないから何が起こっているのかは理解できなかった。 「とりあえず、ノックしてみましょう」  矢野はそう言うと、僕のいる個室に向かって3回ノックをしてきた。  僕はとっさに今どう行動するべきか考えた。
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