1章 一つ目の七不思議

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 僕は人生最大のピンチに頭をフル回転させた。  とりあえず、このままここにいるのはまずい。ずっと出てこないと、最悪中を確認される。あるいは先生を呼ばれる可能性もある。そうなってはもう完全に僕の学園生活は終了。  そこまで考えた段階で、僕はゆっくりと個室の扉を開いた。  どこか逃げ場はないか。  物音を立てないように窓の外を確認する。当然3階なのだから、外に逃げることはできない。一旦外に身を隠そうにも、窓の下には一切の凸凹がない。足をかけることすらできない。  なら、隠れる場所だ。僕は女子トイレの中をこれまでにないぐらいの洞察力で睨みつけた。彼女たちが再びここに入ってくるまで、どれだけの時間があるかはわからない。僕は隠れる場所を探した。  左から右へと視線を動かしていく。  トイレの個室にこもっても無駄だ。雅子さんではないと証明できたとしても、逆に彼女たちの興味を引いてしまうかもしれない。  何か、何かないかとおもった僕の目に飛び込んで来たのは、掃除用具入れだった。
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