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学校自体の場所は実家からは近いためチャリで行くことができて僕としては嬉しいのだが、チャリで学校に向かう者はほとんどいなかった。
なぜなら。
私立釘塚高校は有名私立といったが、金持ちが通うことで有名な学校だったからだ。
ほとんどの生徒が車やらでの送り迎えでもって登校してくるのが常だった。
僕はそんなことは気にせず、ガラガラのチャリ置場に自分の自転車を停めると、鍵をかけて校舎へと向かった。
「おーっす。悠。今日も元気そうやないか」
僕に声をかけてきたのは僕の悪友、雉田竜五だった。
竜五はチャラついた金髪頭で、黒いリムジンから降りてきていた。相変わらずの金持ちっぽさ。金髪だけはっぽくないけど。
「おはよ、竜五。朝から二時間稽古してきてるからむしろ疲れてるよ」
「いやいや。そうは見えへんて。それにしても朝から二時間て。いったい何時に起きてんねん」
「毎朝だから別にしんどくはないけどね。5時から稽古だから5時前に起きてるかな」
「どひゃあ!そんなんようやんぁ。わいやったら絶対無理やわ」
僕よりひどい大阪弁で話す目の前の友は、リムジンから降りてきたのでわかる通り相当な金持ちだった。
父親が医者で開業医をやっている上に、母親は有名ファッションブランドの女社長らしい。
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