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「変っていうなら、男がこんなカッコしてるほうがよっぽど変だよ」
「あー……」
何と返していいかわからない由宇に、倫太郎の視線がちらりと向けられる。
「僕さ、好きな子がいるんだけど」
「へっ? ……う、うん」
突然話が変わったうえ唐突な告白に若干狼狽えつつ頷くと、倫太郎はスカートの端をちょんと摘んでみせた。
「僕がこんなカッコしてるの見たら、どう思うかな」
「どうって……」
「『キモい』とかならまだマシなんだ。趣味でやってるわけじゃないし、それは普段の僕を男として認識してるってことだしね。それより『似合ってる』とか『可愛い』とか簡単に言われるほうが正直凹む」
「うーん……」
彼にも自分と似た悩みがあるらしい。どう答えたものか考え考え、由宇は口を開く。
「ごめん、私も似合ってるなって思っちゃつてたけど……でも、見た目はどうだろうと私、瀬名くんって男らしいなって思うこと、よくあるよ」
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