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私の言葉を聞いた瞬間、少年は死刑宣告をされた受刑者のように顔面蒼白になった。
この世の終わりとでも感じている顔だ。
「……嘘だ……」
長い沈黙のあと、少年はぽつりとそう言った。
嘘だもなにも、そんな嘘をついてこちらには何も得はないので、当たり前だが事実である。
「取り寄せしようか?」
私が尋ねると、くだらない提案を聞いたように、少年は眉間に皺を寄せた。
およそ子供らしくない表情だ。
一応聞いてやる、といった調子で少年は口を開く。
「いつ届くんですか?」
「さあ……聞いてみないとわからないけど、早くても一週間はかかるかな……」
眉間の皺をより一層深くして、少年は顔を背けた。
この会話の時間すら無駄だとでも言いたげな様子だ。
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