第1章

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そして、 鍵がかかる音がすると、 直ぐに男女の喘ぎ声が響いてきた。 その後も何度か、 遥は似 たような場面に出くわした。  化粧室はバーの奥の通路を隔てたところにあり、 軽快なジャズが流れる店内には、 その存在 さえ意識させないつくりになっている。 だが、 いつ誰が通りかかるかわからない場所でよくで きるものだと、 その時は思っていた。  遥は化粧室に入ると、 鍵を開けたままストッキングとショーツを脱いだ。 ショーツのクロッ チにシミができていたが、 そのまま小さく丸めて化粧ポーチにしまう。 敏感なところが空気に 触れて、 いっそう潤んできていた。
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