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ふと向こうの友人を思い浮かべた。彼らは今、どうしているだろうか。
3番隊員の彼とすぐに打ち解けられたのは、目の前にいる彼のおかげでもあるのだろう。
髪の色こそ違えど、どこか彼らは似ていた。
「おい、どうしたんだよ……」
すぐ後ろで声がして、我に返る。
「……何でもない。 行こうか、玲央(れお)」
「お、おう……? 」
苦笑いを浮かべて振り返る龍人に、思わず首を傾げつつも龍人の隣を歩く。
「もぉー! 2人とも遅いよ!」
「いや、俺は悪くねーぞ、悪いのはコイツだ」
「ごめんってば……!」
頬をふくらませて待ちくたびれたとばかりに立つ葵と、ライバルである玲央。
夏が過ぎたというのに突き刺さる日差しはまだ痛いほどだ。
鳥居をくぐり抜けてしばらくして、もう一度振り返った。
ここが、2つの世界を繋ぐ場所だ。
深くお辞儀をして、くるりと向きを変え走り出す。
向こうで過ごした日々は、これからの日々の糧になるだろう。
『僕はヒーローになりたかった』
幼い頃の夢を叶えてくれた。 それだけで大人になれた気がした。
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