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「それが本当なら、確認しないといけない」
震えるリュートの手握り答える。
「怖いなら、俺だけで見てくるけどいいか?」
「えっ……や、やだ!……だったら、僕も一緒に行く」
リュートは俯いていた顔を勢いよく上げ、アランを見つめる。
真っ暗な森の中に1人残されるより、アランと共に村に戻る方が良いと思ったのだろうか。
「……わかった。じゃあリリアナ村まで一緒に行くか」
リュートの気持ちに気づいたのか、アランはリュートの手を握り、魔力を込める。
《ーー転移》
リリアナ村には、過去に一度だけ依頼で行ったことがある。
ーー転移魔法を使うには、距離によってはそれなりの魔力が必要だ。
この森からリリアナ村まではそれほど距離は離れていない。
リュートの両親が、それほど魔法を得意としていなかったか。もしくは、長距離転移させるだけの魔力を持ち合わせていなかったか。
どちらであっても、リュートを飛ばした後に悪魔と対峙できるだけの魔力があったとは思えない。
アランは、顔に出さない程度に焦りを浮かべながらリリアナ村の入口へと転移をした。
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