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――『お前、手がかかるな』 もう誰にも迷惑かけないって決めたのに もう誰にも甘えないって決めたのに―― 冷たい風と共に甘くて苦い香りが届いて あたしの胸はいっぱいになる。 「麻斗くん…」 本当に来てくれた。 額に汗を浮かべて。 自転車、飛ばしてきてくれたのかな…… 「お前、時間、間違えすぎ…」 言って、笑う彼は優しい目をしていた。 「お見舞いは?終わった?」 「今日は……いい」 「そっか…。じゃ行く?」
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