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麻斗君が連れてきてくれた所は、この間遊んだ場所。 楽しい思い出で光り輝く 海――。 「ここ、落ち着くから」 そう言って、堤防の上から海を眺める。 「麻斗君…」 「ん?」 「浜、降りたい…」 「あぁ…」 「今日は待ってんの?」 「うん」 自転車を止めた麻斗君と一緒に、浜辺へ降りる。 陽を受けた海が光っている。 海がゆるやかな鈍い響きを単調に繰り返す。 『落ち着く』 って、言った麻斗君の気持ちわかるかも……。 捉えどころのない悲しみでいっぱいだった心が、少しずつ埋まっていく気がする。 それは寄せてはかえす波の音が優しく響いたから。 でもそれだけじゃなくて 隣に麻斗くんがいてくれるから――。
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