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「……振られちゃった」
「……」
「あたし、可哀想な子だと思われてたみたい」
「……」
「だから、傍にいてくれた……みたい……」
言葉にすると苦しくて、体中が痛みだす
「それやのに、勘違いして、好きになって……」
「……」
「バカみたい……」
あたしは今
ひどく、ひどく、惨めだ。
失恋したことよりも
同情されていたことへ悲しみが募る。
それを愛情だと勘違いをしてしまった自分が情けなくて、涙が零れた。
手のひらに残されたのは幾つかの砂。
あたしはそれだけを持って、ただ涙をこぼす。
麻斗君はそんなあたしの肩を持って、引き寄せる。
彼の胸に顔が埋まる。
「汚れちゃう……」
「いい」
今度は離そうとした後頭部を持って、引き寄せた。
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