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やっと泣き止んだあたしの手を引き、麻斗君が歩き出す。
「どこへ行くの?」
「いいとこ」
見上げて聞くと、麻斗君が微笑んだ。
あたしは、麻斗君の大きな手に包まれて、彼についていく。
ここは彼の地元なんだろうか。
迷いなく足を進める彼は、どこを目指しているのだろうか。
堤防を歩いていくと、カランカランと音を立てて歩く、小さな女の子が見えた。
虹色の帯をつけて、フリルのついた可愛い浴衣を着て下駄を鳴らして歩いている。
あたしたちはその子の後を辿る様に同じ道を歩いて、長い石段を登る。
登りきった視界には、沢山の屋台が並んでいて――
「……お祭り?」
「正解」
そこは、田舎町のお祭りだった。
金魚すくいに夢中になってる男の子。
綿あめを友達とわけっこしながら食べる女の子。
夏の暑さが和らいだ夕方時の夏祭りは、
あたしの目に輝いて映った。
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