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キュッと上がった口角。 ツンと立てた前髪。 馬鹿みたいに何度もあたしを呼ぶ声。 ラーメンをすする横顔。 ――『4番なん?』 ――『腹減った』 ――『翼!』 どの正毅も真っ直ぐで、いつもあたしに向かって全力だった。 ――可哀想な子 そう思っていたのは自分自身。 正毅は、絶対にそんな事、思ってはいなかった。 お兄ちゃんとの約束を果たすため でも、それも含めて全部、正毅がくれた愛だった――。 そう思うと、一人ぼっちだと思っていた自分がひどく愛おしい存在に思えてくる。 「麻斗君。ありがとう……あたし、間違える所だった」 「……あぁ」 「正毅にお礼言わなくちゃ……」 そして、解放してあげなくちゃ。 あたしから――。 あたしは一人じゃないから、大丈夫。 次からは、彩菜を誘っていいんだよっと。 そう思えたら、少し心が楽になった。
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