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「俺、悠さんの大ファンでさ。
中3の時も悠さんの高校に練習試合を見に行ったり
休みの日は、ユースに応援に行ったりしてた」
正毅の目には、お兄ちゃんが見えているのかな……。
「半年前くらいやったかな。
悠さんのプロ入りが決まった頃、『おめでとうございます!』って言おうと思って、近づいたら
悠さんが監督に話をしてるの
聞いてしまってん……」
「……」
「悠さん、プロ入りはやめますって……言ってた……」
「え……」
「母親が倒れて、いつまで入院するかわからないから
妹を一人に出来ないからって」
「……」
「悠さんは俯いてそう言ってて
俺は思わず、金網の後ろから
『俺が守ります!』
『…は?』
『妹さん、……翼さんの事は俺が守りますから!
悠さんは行ってきてください!プロになってください!
悠さんは俺たちの夢なんです!!』
気付けばそう叫んでて、悠さんは困ったように笑ってた。
あれから俺、翼の事、守らな守らなって、思ってて……
一人で飯食ってんのかな?とか
変な男に引っかかるなよ?とか
勉強、見たらな……とか
自分が兄貴にでもなった気分で接してた。
でも、それが
翼を傷つける事になるなんて……」
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