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「おい。前田…?」
先生の横を走り抜け、階段を駆け下りる。
涙が溢れてくる。
止められない。
体が引き裂かれそうに痛い。
あたしは走って走って走って―――……
沢山の生徒を降ろし、空になったバスに乗り込んだ。
――『4番なん?』
――『腹減った』
――『次は来々軒な!』
正毅がくれた愛は
愛情でもなく
友情でもなく
―――同情だった。
あたし、可哀想な子だと
思われてたんだ―――。
あたしは嗚咽を抑え、小さくなって泣き続けた。
辛い。
あたしと正毅を繋げたのはお兄ちゃんだった。
『俺、悠さんと約束してん――』
あたしはいつも
あたしではなく
お兄ちゃんの妹
その現実は、変わらなかったんだ――。
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