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里奈からはメールも。
『担任には腹痛で早退したって言っておいたよ。
翼、今どこにいるの?大丈夫?』
画面に映し出された文字の奥に、目を細める里奈が見えた気がした。
心配かけてごめんね。
里奈、ありがとう……。
あたしは里奈にだけ
『ごめんね、ありがとう。大丈夫だよ』とだけ、返した。
正毅には返信できなかった。
なんて言っていいのかわからないし。里奈が伝えてくれるだろうと思った。
風がそよそよと肌を撫でていく。
髪の毛をサラサラと揺らす。
気持ちがいい風のはずなのに、とても冷たい風に感じる。
どうしたら、この痛みがとれるのだろう。
どうしたら――……。
雲一つない真っ青な空を見あげた時
マナーモードにしていた携帯が震えた。
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