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冷たい視線を送られて、この場にいる事が苦痛に感じた。
「彼女じゃない」って言った方がいいのかな。
でも、直接聞かれた訳じゃないのに言うのも変かな……。
考え込んでいると
「翼」
横から低い声がして
「電車来た」
麻斗君があたしを導いた。
***
彼女たちは違う車両に乗り込んで、突き刺さるような視線はなくなった。
それだけで呼吸がしやすくなる。
あたしも目の前で開いた扉から電車に乗り込んで振り返る。
いつもよりも高くなった場所から麻斗君を見ると、彼があたしに言った。
「なぁ。明日行く?」
「うん。行くつもり」
「俺も行くから」
「……うん」
聞こえるか聞こえないか
それくらいの声で答えて頷くと、麻斗君は小さく手をあげて。
「また明日」
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