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正毅は今日も部活があるだろう。
今は制服姿だけど、話が終わったら着替えて、
遅れてもサッカーへいくつもりだと思う。
あたしと話すためだけに部活を休ませるわけにはいかないし。
「里奈?」
返事をしない里奈にもう一度声をかけると
「う~ん」
里奈は両腕を組んで、少し考え込むような仕草を見せてから
「大丈夫?」
小声で聞いてくれた。
あたしは頷いて
「うん」
口角を上げた。
「翼の事すぐに返してよ~!!」
里奈の声に
「すぐ帰ってくるから~」
そう言って、正毅の後についていった。
正毅、背、伸びたかも。
シャツから見える肩甲骨とか肩のラインとか前よりも骨ばっている気がする。
焼けたから?
前を歩いているから?
男っぽく映る。
男の子の成長は早い。会うたびにそう思う。
夏のキラメキを含んだ白いシャツが眩しすぎて目を逸らす。
封印したはずの想いが浮かび上がりそうになって、慌ててその想いを閉じ込めた。
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