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(寄る?) と言いかけたところで 「翼っ!」 呼び止められたよりも大きな声で名前を呼ばれて 「びっ、びっくりした……」 思わず仰け反る。 驚き過ぎて、心臓が止まるかと思った。 胸に手を当てて、正毅を見返すと 晴れ上がった夏の陽を首筋にうけた正毅が、あたしの事をじっと見て言った。 「夏 何してる?」 「へ?」 すっとぼけた声が出た。 「だから、夏。夏休み、何してんの?って聞いてる」 「えっと……部活?」 「だけ?」 「多分……」 わざわざ、わかってる事を聞くなって言いたくなる。辱めを受けてるみたいだ。 唇を尖らせる。……早く帰りたい。 「俺も」 正毅がポツリと呟いた。 「え?」 「俺も部活だけ」 「……うん」 この人、何が言いたいんだろう。 今までは、話の流れで、正毅の言いたい事はなんとなくわかるような気がしていたのに 今日は全然わからない。 正毅の頭の中を知りたくて、顔を覗き込む。 視線が合うと、正毅は目を逸らして、切れ切れの言葉を放った。 「夏祭り。 一緒に。 いかねぇ?」
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