10/15
前へ
/27ページ
次へ
「……」 あれ? 返事がない。 不思議に思い、横を向くと 正毅は腕を組み、眉間に皺を寄せて、何やら考え込んでいた。 「マ……サキ?」 じーと正毅を見る。 しばらくすると、チラッと一度だけこちらを見た。 けれど、すぐに視線を前に戻す。 口は一文字に結ばれてて――…… ……一休さん? ハテナマークをぶら下げて、一休さん風の正毅を見る。 何を考えているんだろう? その時、彼の耳の下あたりが見えた。肌が赤く焼けていた。 あ~あ、やっぱり赤くなっちゃってる。 一人だけ陽の光を浴びていたからだ。 「正毅……焼けてるで?」 ツンツンと肩を突いたけれど、正毅は無反応。 おおーい。こっちの世界に帰ってきて~! ブンブンと顔の前で手を振っても、気づかない。 ……ダメか。(がっくり) ジリジリと音が聞こえてきそうな陽光。 午後の太陽の光は、どんどんきつくなってくるように感じた。 熱中症とかなっちゃわないかな? 動かない正毅を見えていたら、心配になってきて 「正毅、こっちっ」 あたしは正毅の腕を掴んで、グッと引き寄せた。
/27ページ

最初のコメントを投稿しよう!

15人が本棚に入れています
本棚に追加