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「――っ」
正毅は男だし。
あたしよりも重いだろうし。
結構、力を入れて引っ張った。
ベンチの空きを詰めれば日陰に入れる。
そう思って、隣に座るように促したつもりだった。
でも、あたしのやり方は間違っていたみたい。
引っ張られるとは思ってもいなかった正毅は、驚きと共に体制を崩し、
前のめりに倒れこんできた。
―――ブツカルッ
ギュッと目を閉じた。
痛い?
痛い?
あれ。痛くない。
ブツカルと思っていたけれど、どこにもぶつからなくて。
痛くもなくて。
あたしはそーと目を開ける。
「わっ!」
ビックリした。
正毅のツンツンと立てられた髪の毛が、目の中に入りそうだったから。
あたしは仰け反って、正毅を見る。
正毅は、あたしの後ろにある椅子の背もたれを掴んでいた。
ぶつからないように両腕を突っ張っている。
顔の横にある腕がプルプルと震えてる。
顔は下を向いていて……
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