15人が本棚に入れています
本棚に追加
「翼~っ!急になんやねん!」
言いながら顔を上げた。
膝同士がぶつかって、距離が一気に縮まっていた。
正毅の右手が大きく動いて、あたしを包み込むような形になっていた。
顔面10センチの距離に正毅の顔があって。
「……っ!」
心臓が跳ねる。
あたしはすぐにを目を逸らして、言った。
「ごめん……っ」
声が上ずっていたと思う。顔が赤いと思う。
全てを自覚していたので、正毅が見れなかった。
俯きながら、謝ると正毅の両腕が静かに降りた。
「……」
「……」
抱き締められたわけじゃない。
どこかが触れたわけじゃない。
でも、
胸がつぶれてしまうんじゃないかと思った。
胸打つ心音が聞こえてしまう。
まだ好きだってバレてしまう……。
ばれたくない。
早く友達に
元の関係に
戻りたいのに――……。
最初のコメントを投稿しよう!