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麻斗君が運転する自転車は、グングンとスピードをあげていく。 相変わらず早いな。 振り落とされないように、腰元に手を回して 風を含んで大きく揺れるシャツに頬を寄せた。 ここどこだろう……? 麻斗君が走る道は、歩いてきた大通りとは違う道だった。 目の前に広がるのは、信号のないただただまっすぐな道。 左手には広々とした田んぼ。 右手には数件かたまって立つ純和風建築の家があって、その後ろには山々が連なっている。 ここからは見えないけれど、近くには海もあるはず。 だって、潮の香りがする。 海と山に囲まれた田園地帯。 ここが麻斗君が育った町。
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