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「こないだ連れていってくれたお祭りも楽しかったし」
なんだか落ち着いた。
「あれぐらいで?」
麻斗くんは一瞬、驚きの表情を見せたけれど、あたしが黙って頷いたので
「ならよかった」と微笑んだ。
「でも、お祭り早いよね?」
「そうか?」
うちの街のお祭りは8月末だから。
大抵、夏の祭りは夏休みにやるものだと思ってた。
だって、今は7月。
「うん。多分……」
他の町の事はよく知らないけど。
そう思いながら、ホームの奥に目をやると山が見えた。
そうこんな感じの山だった。
ふもとに長い石段があって、その上に神社があって、綿菓子とリンゴ飴を買って
そして、少しだけ花火が上がって――……。
夏の想いでは過ぎると途端に輝きだす。
それは何故なんだろう…。
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